中国拳法の種類と特徴を解説!人気の拳法も紹介します
中国拳法のことを中国では単に武術と呼ぶようですが、日本では中国拳法や中国武術やカンフーなどと呼ばれています。
古代から伝わる中国の武術をベースに様々な拳法が生み出され、現在では数百種類確認されているような形です。
中国拳法の見栄えのよさと奥深さは、世界中に武術ファンを生み出し続けているので、これからも発展し続けるでしょう。
中国拳法の種類と特徴について解説し、さらに人気の高い拳法も紹介します。
目次
中国拳法を種類別に分けると…
中国拳法はいくつかのグループに分けられることがありますが、それぞれの拳法は独自の特徴を持っていて、異なる理論で技術を深めています。
多様な拳法が存在するのは、歴史や地域的な要素や宗教などが拳法の発展に影響を与えたからです。
中国拳法は日本や他の国々でも非常に高い評価を受けており、始めたばかりの人でも体力向上や心の安定や護身の技術向上に役立つでしょう
北派と南派の違いと特徴
北派(ほっぱ) | 南派(なんぱ) | |
動作 | 動作が伸びやかで蹴り技が多い | 足腰を安定させた力強い手の技が多い |
拳法の種類 | 太極拳(たいきょくけん)、形意拳(けいいけん)、八卦掌(はっけしょう)、通背拳(つうはいけん)、少林拳(しょうりんけん)、八極拳(はっきょくけん)、査拳(さけん)、劈掛拳(ひかけん)など | 洪家拳(こうかけん)、詠春拳(えいしゅんけん)、白鶴拳(はっかくけん)、白眉拳(はくびけん)、蔡李佛拳(さいりぶつけん)など |
中国拳法は長江を境に北派(ほっぱ)と南派(なんぱ)に分類され、北派は動作が伸びやかで蹴り技が多い特徴があり、南派は足腰を安定させた力強い手の技が多い特徴があります。
中国大陸の北方は広大な平原が多いため、手よりも長い足を利用する事が多く、大きく移動しながらの跳躍技や蹴り技の多い武術がたくさん生まれた様子です。
中国大陸の南方にはたくさんの河川があって船で移動することが多く、揺れて安定しない狭い場所に対応するため、両足でしっかりと踏みしめながら戦う武術が多く生まれたと言われています。
たくさんある中国拳法には、北派でも手技を多く使う門派や、南派でも足技を多く使う門派もあるとのことです。
北派に分類される拳法には
などがあります。
南派に分類される拳法は
などがあるようです。
中国拳法は長江を境に北派(ほっぱ)と南派(なんぱ)に分類され、北派は動作が伸びやかで蹴り技が多い特徴があり、南派は足腰を安定させた力強い手の技が多い特徴があります。
内家と外家の特徴と代表的な拳法
中国拳法は内家(ないか)と外家(がいか)に分類され、内家拳は内功(ないこう)を使った内側からの柔らかい力を重視する特徴があり、外家拳は肉体を直接鍛えた硬い力を重視する特徴があります。
内家拳は身体の内側から湧き出すような力(=内功)を使えるように練習していく拳法です。
内家拳では気功法などと同じように、呼吸や動作などを一致させて気の流れを良くする練習をして行きます。
気とは目には見えないけど働きがわかると言うもので、武術の場合はおおむね力を生み出す神経伝達と血流の事です。
内家拳には、太極拳(たいきょくけん)と形意拳(けいいけん)と八卦掌(はっけしょう)があり、それ以外は外家拳に分類されています。
外家拳は、器具などを使って直接肉体を鍛え、主に骨や筋肉から生み出される力を使って技を活用する拳法です。
外家拳は筋肉や骨や皮膚などの肉体を直接鍛える練習を行うので、それなりに戦えるまでの上達が早く、兵士の量産に向いています。
外家拳でも内功の練習はするので、長く練習して行くと内功の技術も向上して行くでしょう。
そのため、現在では内家と外家の区別はあまり重視されない場合もあるようです。
中国拳法は内家(ないか)と外家(がいか)に分類され、内家拳は内功(ないこう)を使った内側からの柔らかい力を重視する特徴があり、外家拳は肉体を直接鍛えた硬い力を重視する特徴があります。
速い動作の中国拳法について
中国拳法には機敏さとスピードを重視した速い動作を特徴とする拳法が存在します。
よく見かける太極拳はゆっくり動いているので、他の拳法は素早く動いているように感じられるでしょう。
長拳(ちょうけん)に分類される
などの拳法は空手の型のように動作が速く、見ていてかっこ良く感じると思います。
速い動作の中国拳法の中には、特に機敏さとスピードを重視したものがあり、その速さは普通ではありません。
体の力みを取って、高速で動けるようになる基礎練習をたくさんします。
速い動作の中国拳法を練習している人から「つまらない基礎練習をたくさんさせられているうちに、いつの間にか早く動けるようになっていた。」と聞いたことがありました。
速い動作の中国拳法にはどのようなモノがあるのでしょうか?代表的な拳法を紹介します。
速い動作の拳法の特徴と代表的な拳法
中国拳法には速い動作を特徴とする拳法があります。
瞬発力で爆発的に連打を繰り出す拳法は、スピードと力強さも兼ね備えていて、その精巧な技を連打されたらどうすることも出来ないでしょう。
速い動作を特徴とする拳法は、翻子拳(ほんしけん)や螳螂拳(とうろうけん)や通背拳(つうはいけん)が有名です。
翻子拳は「両拳は閃電の如し、密なること雨の如し」と形容されるほどの連続攻撃を得意とし、貫通力の高いパンチを猛烈な勢いで連続して相手に打ち込む特徴があります。
螳螂拳はカマキリの活発でスピーディな動きを取り入れており、「一息の間に5発の攻撃を出す」と言われ、俊敏な動きと連続攻撃が特徴です。
通背拳は腕を鞭のようにして長く柔らかく遠くまで放ち、「一息の間に7発の攻撃を出す」と言う、迅速で目にも止まらぬ速い打撃が特徴となっています。
中国拳法には速い動作を特徴とする拳法があります。
人気の拳法!あなたが一番好きな中国拳法は?
中国拳法には沢山の魅力的な拳法が存在しますが、あなたが好きな中国拳法はどれでしょうか?
私が一番好きな中国拳法は太極拳です。
太極拳は体力に応じて強度を調整して練習できるので、初心者でも気軽に始められますし、一生涯つづけられるでしょう。
太極拳の練習をすると体が温まって温泉にでも入っているような心地よさがあり、健康の維持にとても良いと感じます。
武術的な技術にも大変満足です。
以下に人気の高い中国拳法を紹介します。
気に入った中国拳法が見つかったら、思い切って始めてみてください!
太極拳(たいきょくけん)
太極拳は呼吸に合わせて円形にゆっくり動作するのが特徴です。
太極拳は心と体の健康維持効果が証明されているので、世界中にファンがいます。
太極拳を練習している人は世界では1億5千万人いて、日本では150万人いると言われており、高齢化していく日本では今後も健康目的の練習生が増えていくでしょう。
太極拳の練習は、高齢者にとっては足腰の衰えなどの老化を防ぐ健康体操になり、武術としての戦い方を意識すれば身を護る技術にもなります。
正しい指導を受けて太極拳の練習を続けていけば、力を解放する技術(発勁=はっけい)も身について来ますが、発勁をすると解放感が心地よいです。
発勁が出来れば、技術の幅が増えますし、剣等の武器を扱う時にも使えますし、良いストレス解消にもなるでしょう。
太極拳は呼吸に合わせて円形にゆっくり動作するのが特徴となっています。
形意拳(けいいけん)
形意拳は太極拳と同じ内家拳で、全身を連動させた直線的な力強い打撃が特徴です。
独特の足の運びから打ち出す形意拳の攻撃は、シンプルな見た目ですが破壊力は中国拳法のトップクラスでしょう。
太極拳と同じく内側から湧き出すような力を使う形意拳の練習は、力を生み出す足腰の内燃機関を鍛えることを大切にしています。
私が初めて気を感じたのは、形意拳の基礎練習で三体式をしていた時でした。
形意拳では、拳を打ち出す五つの基本技の五行拳(ごぎょうけん)と、五行拳の応用で龍や虎や熊や蛇などの動物を真似た動きの十二形拳を練習して行く組み立てです。
形意拳は太極拳と同じ内家拳で、全身を連動させた直線的な力強い打撃が特徴となっています。
八極拳(はっきょくけん)
八極拳は接近戦に特化した強力な肘打ちや体当たりが特徴です。
八極拳は、相手に密着して防御をこじ開けながら、最大限の強力な攻撃をします。
八極拳では足を強く踏み落とす震脚(しんきゃく)を使って打撃の力を生み出す仕組みです。
陳式太極拳でも震脚や肘打ちや体当たりを使うので、起源は同じなのかも知れません。
実際に八極拳の動きを真似してみると、力の通り道(勁道=けいどう)が理解出来ます。
槍の達人が多いのも八極拳の特徴でしょう。
八極拳では、小八極で基礎的な練習をしてから、大八極、六大開と実戦的な練習を進めて行く構成です。
八極拳は接近戦に特化した強力な肘打ちや体当たりが特徴となっています。
詠春拳(えいしゅんけん)
詠春拳は狭い場所での接近戦を得意とし、歩幅の小さいシンプルで直線的な動きが特徴です。
女性が創始した詠春拳は、足を開かず無駄のない動きをするので、広い場所を必要としません。
詠春拳は攻撃と防御を兼ね備え、精密な動きで自身を守りながら攻撃するのが得意です。
詠春拳は他の武術に比べると技の数が少なく、拳や肘を使った連続攻撃を木人椿(もくじんとう)と言う器具を使って練習して行きます。
詠春拳で練習する武器は、主に刀や棍(こん)です。
ブルースリーが幼少期に香港で詠春拳を学び、それを基に截拳道(ジークンドー)と言う新しい拳法を生み出しています。
詠春拳は狭い場所での接近戦を得意とし、歩幅の小さいシンプルで直線的な動きが特徴です。
その他の中国拳法
気に入った中国拳法を見つけて、練習を始めてみてはいかがでしょうか?
中国拳法は種類に関わらず健康の維持と増進に、身を護る手段として、英気を養うことが出来る人生のパートナーとなるでしょう。
八卦掌は円を描くような移動をしながら、次々と流れるように技を繰り出すのが特徴です。
少林拳は素早く大きい直線的で、力強い動きが特徴となっています。
査拳は伸び伸びと大きく優雅な動作で、蹴りを多用するのが特徴です。
劈掛拳は曲線的でダイナミックに両腕を振り回して、掌で連続的に攻撃する特徴があります。
洪家拳は腰を落とした低い姿勢からの、力強い手技が特徴です。
白鶴拳は歩幅が狭く、手技が力強く、呼吸法に特徴があります。
白眉拳は高速で連続に繰り出す射程の短い手技が特徴です。
蔡李佛拳は低い姿勢から軽快に移動しながら、手を大きく伸ばして攻撃する特徴があります。
気に入った中国拳法を見つけて、練習を始めてみてはいかがでしょうか?
いろいろな中国拳法を体験してみよう!
いろいろな中国拳法を、ぜひ体験してみてください。
近年は日本国内でも様々な中国拳法を学べるようになって来ています。
たくさんの中国拳法を学ぶ機会が増えたのは、中国大陸や台湾に渡って学んで来られた先生方の努力の成果です。
また、日本に定住して中国拳法を教えている中国人の先生方もいらっしゃいます。
それらの門下のかたがたも教室を開くなど、中国拳法を練習する環境は整って来ているので、いろいろな中国拳法を体験できるでしょう。
体験した中から気に入った中国拳法を見つけて練習を始めると、体力がついて、気持ちが安定して、日々の生活が充実して行くと思います。
大きな怪我や病気からの体力回復には太極拳がお勧めですが、他の中国拳法も体力回復や体力増強にとても良いでしょう。
いろいろな中国拳法を、ぜひ体験してみてください。
まとめ:中国拳法には様々な種類があり、どれも優れた武術です
中国拳法にはたくさんの種類がありますが、どれもが健康の維持と増進に、身を護る手段として、英気を養うことが出来るでしょう。
中国拳法の種類は数百種類以上確認されているような形です。
中国拳法の分類には、北派と南派や、内家と外家などがあります。
中国拳法は長江を境に北派(ほっぱ)と南派(なんぱ)に分類され、北派は動作が伸びやかで蹴り技が多い特徴があり、南派は足腰を安定させた力強い手の技が多い特徴がある構成です。
中国拳法は内家(ないか)と外家(がいか)に分類され、内家拳は内功(ないこう)を使った内側からの柔らかい力を重視する特徴があり、外家拳は肉体を直接鍛えた硬い力を重視する特徴があります。
中国拳法には機敏さとスピードを重視した速い動作を特徴とする拳法が存在し、その瞬発力で爆発的な連打を繰り出されたらどうすることも出来ないでしょう。
気に入った中国拳法を見つけて、練習を始めてみてはいかがでしょうか?
中国拳法にはたくさんの種類がありますが、どれもが健康の維持と増進に、身を護る手段として、英気を養うことが出来るでしょう。