太極拳の推手とは?基本動作や種類・やり方について解説!

太極拳の推手を練習する男性二人

太極拳の推手(すいしゅ)の基礎や基本練習方法と、四正推手のやり方を以下に紹介して行く記事になります。

基本の推手は、相手と手の動きや歩法を合わせて動作する対人練習の技術で、套路(とうろ=型)を理解するためにも重要な練功方法(れんこうほうほう=練習方法)です。

太極拳教室の中には、推手等の対人練習を積極的に行う所もあり、探せばすぐに見つかります。

太極拳の動作を体で理解出来るように、推手の練習をたくさんして技術を高めましょう。

太極拳の推手とは?

推手とは中国武術のなかでも太極拳オリジナルの対人練習で、接触した状態からお互いに関節技や転ばせる技や投げ技などを掛け合います

推手は打撃技も加えて練習する場合もあり、太極拳を武術として使えるようにする練習方法です。

練習風景の見た目は、服を着た相撲に近いかもしれません。

推手ではらせん状にひねるような動作や、貼りついて付いていくような動作を使ってお互いに技を掛け合います。

相手に貼りついて付いていって、相手の力を利用して技をかけるところが太極拳の特徴です。

相手に付いていくには、聴勁(ちょうけい=相手の動きを感じ取る)の技術が必要になります。

推手とは、接触した状態からお互いに関節技や転ばせる技や投げ技などの掛け合いを行う、太極拳の練習方法です。

太極拳の推手の目的

推手の目的は、身を護る武術としての太極拳を、自由自在に使いこなせるようにすることです

太極拳は村を守り健康を維持して幸せな人生を全うするための護身の武術として生まれました。

最近では主に健康目的で太極拳を練習する人が多いでしょう。

安全に配慮して推手を練習すれば健康効果も高まるので、套路(とうろ=型)だけではなく推手も練習する事をおすすめします。

まずは基本の推手を練習して基礎を養い、攻撃方法や攻撃強度のルールを決めて限定的に自由な攻防を行うように練習し、徐々に制限を少なくして行くと良いでしょう。

Web上のホームページで投稿記事などの情報を見ると、推手と套路は両輪と書いてある場合もありますが、私は套路の練習目的が推手の上達だと習いました。

推手の目的は、身を護る武術としての太極拳を、自由自在に使いこなせるようにすることです。

太極拳の推手の基本動作・推手の種類

推手の基本動作と種類について解説します。

まずは推手の教科書の1ページ目に書いてある「立ち方」が大切です。

姿势が良くないと直ぐにバランスを崩してしまうでしょう。

脊柱を真っ直ぐにして、全身の関節を緩めます。

正しい方法で立ってから推手の練習を行いましょう

以下に推手の基本動作と種類を解説していきます。

単推手

推手を片手ですると言う意味です。

相手が右手右足を前に構えていたら、自分も右手右足を前に構えます。

手首辺りの前腕の外側を、指先が上向きでお互いに接触させ、平円や立円などを描いて行く推手です。

接触面が離れないように、相手の動きを感じ取りながら一定の速さで動きます。

後ろの手はだらりと下げずに、自分の丹田に触れていると良いでしょう。

全身を連動させ、相手と一体になるような感覚を養います。

以下の「推手のやり方・練習方法」では実際に動画を紹介しているので参考にしてみてください。

単推手は推手を片手でするやり方です。

双推手

推手を両手でするやり方です。

相手が右手右足を前に構えていたら、自分も右手右足を前に構えます。

手首の少し下の前腕の外側を、指先が上向きでお互いに接触させ、後ろの手は相手の肘に掌を触れておき、そのまま平円や立円などを描いて行きましょう。

また、両方の前腕を接触させて回すやり方や、相手が両手で押して来るのを抑え分けるようなやり方等も有ります。

単推手よりも相手との距離が短くなるので、全身の関節をより緩めなければなりませんが、相手を感じながらやれば上手く出来るでしょう。

以下の「推手のやり方・練習方法」では実際に動画を紹介しているので参考にしてみてください。

双推手は推手を両手でするやり方です。

四正推手

両手を入れ替えながら立円に回すような推手です。

掤(ポン=支える)捋(リー=引き込む)擠(ジー=押す)按(アン=抑える)の動作をお互いに行います。

お互いに同じ手足が前に出ている、合歩(ごうほ)で行うのが基本です。

互いに関連し合う掤捋擠按を、手の入れ替えをしながらスムーズに動作出来るように練習して行きます。

最初は複雑に感じるかも知れませんが、丁寧に繰り返し練習すれば必ず出来るようになるので、焦らず諦めず何度も挑戦してください。

慣れてきたら歩法も使って練習しましょう。

歩法が入ると活歩推手になりますが、流派や門派によっては同じ名称でも違うものを指す場合があります。

以下の「推手のやり方・練習方法」では実際に動画を紹介しているので参考にしてみてください。

四正推手は両手を入れ替えながら立円に回すような推手です。

太極拳三段推手動画

日本武術太極拳連盟の太極拳3段試験で行う規定の推手套路と言うものが有ります。

2023年時点の3段の試験内容は、24式太極拳前半と太極拳推手基礎套路で、審査に合格しない者は3段になれません。

以下の動画で推手套路を確認してください。

その他の推手

他に順歩(じゅんぽ)推手や大捋(だいりー)推手や散推手などがあります。

順歩推手は相手が左前なら自分は右前で搭手(とうしゅ=手首辺りの前腕の外側を、指先が上向きでお互いに接触させた状態。反対の手は相手の肘に触れておく。)から四正推手をする推手です。

順歩推手では歩法を入れながら、回す方向を変えながら、肘関節を取り合いながら推手をします。

大捋推手は順歩推手を低架(ていか=低い姿势)でするような推手です。

散推手は自由に攻撃や防御をする推手になります。

散推手は大会なども行われていて、スポーツとしても広まって来ているところです。

以上のような推手の他にも陳式太極拳には様々な推手が伝わっているので、興味のある方は出会えるように探してみて下さい。

【太極拳】推手の重要性

武術として太極拳を使うには、相手の動きを感知する聴勁(ちょうけい)を養わなければならず、推手の練習は欠かせません。

推手で聴勁を養う練習をすれば、健康効果も向上するでしょう。

推手の練習では常に相手の動きを感じ取れるようにします。

力まないようにして、相手との接触面の負荷は四两(しりょう=150g)ほどに保ちます。

皮膚の感覚を育てるような気持ちで練習すると良いでしょう。

強引な力は拙力(せつりょく=つたない力)と言われ、推手では敬遠されます。

力の弱い者が身を護るためには、力では無く技術で対抗しなければなりません。

太極拳の技術を向上させる聴勁を養うため、推手の練習をたくさんしましょう。

相手の動きを感知する聴勁(ちょうけい)を養って、太極拳の技術を向上させるために、推手の練習は欠かせません。

【太極拳】推手の応用

推手で聴勁を養うと感覚が研ぎ澄まされ、危険を回避する能力やバランス感覚が良くなり、怪我をしづらくなるでしょう。

推手の練習で相手の力を感知できるようになって、適切に受け流せるようになれば、身体も心も安定して人間関係も良くなります。

適度な距離を保って、とがってぶつかったりしなければ、様々な日常のストレスも受け流せるようになるでしょう。

推手の練習で武術のスキルを向上させれば、予想外の事が起きてもその状況に対して冷静に対処できるようになります。

より良い人生を望むのならば、推手を日常生活にも応用してみてください。

推手で聴勁を養うと感覚が研ぎ澄まされ、日常でも怪我をしづらくなり、人間関係など社会生活にも良い影響があるでしょう。

太極拳での推手のやり方・練習方法

推手のやり方・練習方法を紹介します。

套路(とうろ=型)の練習だけでなく、推手で対人練習をすると太極拳を使いこなせるようになっていくでしょう。

相手と自分の力がぶつからないように、全身の関節を緩めて、滑らかに推手が出来るように練習してみてください。

単推手

単推手は推手の基礎基本ですが、とても大事な練習だと教わりました。

軽視せずに、毎回感覚を研ぎ澄ませて相手を感じるようにしてください。

双推手

双推手を紹介します。

滑らかに動けるように何度も練習してください。

四正推手

四正推手を紹介します。

ゆっくり何度も練習すれば出来るようになるので、根気よく挑戦してください。

散推手

散推手が本来の推手です。

関節技を極めたり、崩したり、投げたり、時には打撃も加えて対人練習します。

初めは強度を下げて、限定的に上半身だけ触れて良いなどのルールを決めて、怪我をしないように注意しながら、自由な攻防をするとよいでしょう。

太極拳を武術として使えるようにするには、散推手をたくさん練習する必要があります。

太極拳の試合の様子は下記の動画で確認してください。

太極拳を実戦で使う方法や練習については下記の記事でも解説しています。

まとめ:太極拳の推手をたくさん練習しましょう!

推手は関節技を極めたり、崩したり、投げたり、時には打撃も加えて練習する、太極拳を武術として使えるようにする練習方法です。

套路(とうろ=型)の練習目的が推手の技術の上達になります。

推手の目的は、身を護る武術としての太極拳を、自由自在に使いこなせるようにすることです。

太極拳は村を守り健康を維持して幸せな人生を全うするために生まれました。

推手の基礎練習には、単推手や双推手や四正推手などがあります。

陳式太極拳の場合は攻撃を受け流すように想定するので、単推手や双推手などの推手の基礎練習でもより武術的な動きです。

太極拳を武術として使えるように、より健康効果を得られるように、推手をたくさん練習しましょう。